2007年03月09日

 ピアフの生涯



エディットピアフの生涯を描いた映画「LA、MOME」をこの近くの新しい映画館「MK2」に見に行った。朝一番の部は、5ユーロ90セントで、通常の半額だから、と友人お勧めの映画だった。
 10時55分からなので、10時40分に着くと、ドアはまだ開いていない。中から男の人が、両手を広げて、あ10分だと教えてくれた。切符を買って、エスカレーターを降りると、部屋が両側にわかれて、赤い色調で、デザインが素晴らしい。私の映画は、2番の扉、中に入ると、やはり真っ赤な色で、壁も、椅子も統一されている。当然のことながら、私一人。しばらく待っていても、誰もこないので、間違いはないかと心配になる。予告編が始まりだすと、人がちらほら入ってきた。予告編が長い。本編が始まった。私の涙腺は、最初からゆるみっぱなしだ。ピアフを演じているMarion Cotiland という女優は、見事にピアフを演じきった。

 子供時代から、栄光の時代へ、成功から、傷を得て、失意の時代へ、彼女は常に、誠実で、繊細、ひたむきな人生を生きた。特に、ボクサー、マルセルとの、愛の物語の描き方が素晴らしい。
 私は以前から、ピアフの物語をテーマにした、舞台や、テレビなども見たが、これほど見事に
ピアフを描ききった作品は知らない。今、こうして書いている内にも涙でキーボードがかすむほど、
余韻にひたっている。マルセルに恋するピアフの逸脱した、可愛さ、美しさの表現が見事だった。
 彼女は苦しさに耐えられず、麻薬に救いを求め、廃人のように変化していく姿も見事、その中で、
常に、誠実に、不器用に、真っ直ぐに生きるピアフの魅力があますところなく描かれていた。


 私の大好きな「いいえ、何もない」という歌を、歌うピアフは、売り出した最初に着た黒の衣装に身を包み、小さな体が威厳に満ちていた。きっぱりと、澄み切ったその声と少しも違わない、彼女の生き様を、表現している「リアン、リアン、ド、リアン、リアン、ド、リアン いいえ、何もない、何もないの、何もない、何もないの、私は何も後悔することはない、、」という
歌が、心に響き渡る。愛に生きたピアフ、傷つき、悩み、それでも誠実に、拒まず、愛を貫いた、永遠のピアフ。

 MOME]というのは、ピアフになる前の、デビュ当時の名前で、ジェラルデュー、ドバルデュー演じるプロデューサーがつけた名前。幼いピアフを、戦争から帰ってきた父親が預ける娼婦の館の女主人に、イブモンタンの奥さんのシモーヌ、シニョレによく似た俳優が演じていたのも興味深い。  

Posted by アッチャン at 16:41Comments(0)映画