2008年08月19日

あの日の指輪を待つ君へ


 


名匠リチャード・アッテンボロー監督が手がけた感動のラブ・ストーリー。実話をもとに、指輪を巡って、恋の真実を描いた、作品。
 戦時下で、生涯変わることなく愛する事を誓った二人は、友人達の介添えで、秘密の結婚式をあげる。介添えの友人二人はテディーの無二の親友で、マドンナ的、お嬢様のエセルに密かな恋心を抱いている。航空訓練生のテディーは、家を建て、彼女にプロポーズ出来る男になろうと、自ら危険な職務に志願する。テディがエセルにプレゼントした指輪を、結婚式の祭壇で、エセルはテディーに持っておいてほしいと手渡す。指輪の内側に二人の名前が刻まれた指をを。
「 生涯、命尽きるまで、永遠にあなたを愛し、、」神の前で永遠の誓いをたて、結婚指輪を用意していなかった二人は、その指輪を結婚の誓いにした。
 テディは、友人二人に、「自分にもしものことがあったら、二人の内、どちらかが彼女と結婚し、彼女を幸せにする事を約束してほしい。」と言う。
 アイルランドの上空で、テディの飛行機は炎上し、彼の遺体はみつからないまま、死亡が告げられる。テディーの遺産である、新しい家と共に。

 


 50年後、エセルの主人が亡くなり、彼女は葬式に出ない。よりそっているのは、エセルには恋していないと友人に譲ったジャック。彼は何度も結婚を繰り返しながら夫妻に寄り添い、友情で結ばれていた。
エセルは、テディと共にいた寝室(娘が使っていた部屋)に移り、テディとの恋の思い出にふけり酒浸りになっている。アイルランドから、指輪が届けられる。爆撃地を掘り出して、出てきた指輪、実はその指輪を探して掘り続けていた老人がいた。1941年、彼は、まだ生きていたテディーを見た。指輪と共に、彼の遺言をエセルに届けてほしいと頼まれた。「自分の事を忘れ、好きな人と幸せになってほしい。」という言葉だった。その直後、火災の爆発と共にテディーが消えた。テディーの戸籍は、独身のままだった事を知った友人は、彼女にそれを告げなかった。結婚を頼まれた事も。

 死者に誓った永遠の愛のために、夫に心を閉ざし、娘に素直な愛の表現が出来ず、 苦しんできたエセルは、1994年、紛争のアイルランドに行き、爆撃を受け、闘争に巻き込まれる。。彼女は死んでいく兵士の手を取り、自分もそのまま死のうと思う。爆発の危険が迫っている。テディーの遺言を告げる為に、老人は彼女に近づく。テディーが最後に残した言葉を聞き、彼女は今、やっとテディーの亡霊から解放され、自由に。生きようとする力が働く。
エセルに恋しながら、友情の為に、「エセルに恋心など持っていない。浮気な僕にはむかないよ。」と言ったばかりに、長年苦しんできた友人は、エセルを追ってアイルランドに来ていた。彼女に死ぬ前に彼の思いを告白しようと。
 寄り添い、固く抱擁しあう、年老いたカップル。空は青く晴れ渡り、二羽の鳥が仲良く飛んでいった。


 死者は、絶対的な存在になる。だが過去形である。愛していた、ということ。永遠に貴方以外の誰も愛さない、なんてことは、ありえないこと。生きていてこそ、恋が芽生え、心が動かされ、生きている喜びに浸り、愛を肌で感じることが出来る。人間の心は、生きている限り、常に移りゆき、活動し、変化していく。それが、生きているということ。
 この映画は、そういうことを見事に表現している。私達に実感させてくれるだろう。

 

 

  

Posted by アッチャン at 10:46Comments(0)映画