2009年01月03日

赤穂へ


 あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。




 元旦から1泊で、赤穂にあるグランリゾート(元はジャンボ)に母に付き添って出かけた。暮れに霰が降る寒い日があって、スタッドレスのタイヤに変えているから、どこに行っても心配はないのだけれど、高速道路が苦手なので、電車の方が楽だろうと、新快速に変更した。電車は楽だ。姫路で、乗り換えの普通電車は同じホームから始発で連結されている。一度乗り換えただけで、話をしているうちに、目的地に着く。ほとんど無人駅のような、坂越という駅までは、4時以降になれば、ホテルの車が迎えに着てくれると言うので、 そのつもりで駅から電話をすると、運転手がいないので、連絡着き次第に迎えに行きます、という。空っ風が吹き、寒さを防ぐ場所は、駅の外にある公衆電話の中だけ。

 


 タクシーは、赤穂から呼ぶので、時間はかかる、料金は高い。タクシーにしようかと思い始めた頃、迎えの車がやってきた。
 岬にあるので、車の人がほとんどの、まさしくリゾート地にあるホテルだった。会員制のクラブで、お正月でも比較的安く利用出来るのがメリット、特別期間の予約条件は通常とは違っていて、12日前からキャンセル料がかかる。2人行けなくなって、1万円は払ったが、全員だと2万円払わねばならないところだった。


 

 部屋は広くて、テレビは小さい。暖房を弱に入れると、馬鹿暖かくなりすぎるので、つけたり消したり、手動式温風器。大浴場とは、お世辞にも言えない浴場に、夕食前に押し寄せ客で、びっしり詰まっていたが、私達が入る頃は、ほとんど出ていく人達ばかりだったので、気持ちよく使えた。小さな男の子が、おばあちゃんと入って来た。ハンサムな可愛い、活発な男だった。
 夕食時、前のテーブルが、その家族のテーブルだった。お父さんはアメリカ人、お母さんは、お腹に赤ちゃんがいる。おばあちゃんとおじいさんは、孫に夢中。その隣に、おばあさんによく似た、おおばあちゃんが座った。車いすを押してやってきたのは、孫にあたる男の子で、端っこの席に、おおばあさんと向かい合わせに座っている。
お正月に日本に帰ってきた、娘夫婦を招待して、ここにやってきたのだろう。

 

 




 おおばあちゃんは、ひたすら食べている。赤ちゃんにも誰にも感心がなさそう。弟もただ、食べている。 小さな男の子を挟んで、ご機嫌を取ったり、わいわい賑やかなのが、目をひくのだが、その間、おおばあちゃんの隣に座っている、おばあさん(お母さん)が、自分の母親に 全く関心を示さず、まるでいないかのように無視している事の方が気にかかった。

夕食は、品数がものすごく多く、お正月のおせちのお料理も沢山出た。なんでこんなに出すのだろうと思うくらい。ご馳走とはそういうものなのだろうけれど。

 



食後、お餅つきがあるという。時間に降りていくと、すでの始まっていて、客の女性が、とりもちを引き受けてやっていた。赤穂浪士の羽織をかけて、次から次につきてが変わる。 かけ声がかかる。アメリカンとその家族は、一番前に座ってみていた。




 お腹がパンクしそうなのに、つきたてのお餅だからと一つは頂、残りは持ち帰った。
座っていられなくて、寝ころんだまま、テレビを見て、いつのまにか寝てしまった。
翌朝、初日の出ではないが、二番手の出を窓から拝む。
朝食も、同じテーブルで、しばらくすると、アメリカ人夫婦がやってきた。アメリカンの前には食事の準備がない。昨夜餅つきで、采配をふるっていた女性はすでに食事を終えて、帰り際、アメリカンに話しかけた。
「おはよう」食事の用意がしていないことに気づき、どうしたのか、と訊ねると、アメリカンは、「日本食は食べられない」と答え、パン食を頼んでいるのだという。
 息子が車いすをひいておおばあちゃを連れてきた。お母さんがやってきた。男の子がおじいちゃんと散歩から帰って来て、入って来た。全員が揃い、食べ始めると、モーニングセットのように、コーヒーと1枚のトースト、小さなカップのものが、お皿に乗ってやってきた。


 


 大男のアメリカ人のお腹を満たすには、あまりにも少なすぎる。彼はお代わりを要求することが出きず、水ばかり頼んでいる。昨夜は、コーラばかり飲んでいた。他の人達は、すごい数の朝食、お雑煮に、ご飯も。
 不思議なのは、他の人達が気づかないないのか、無関心なのか?アメリカンは、どうにもお腹がおさまらないらしく、男の子の皿に、家族が入れている卵を口に入れる。
 

 


 昔、父が生きていた頃、アメリカ人の女の子が日本にを日本にやってきた。家族全員でお正月の旅行に出ていたので、彼女もそれに参加した。那智勝浦の旅行だった。
 父は、彼女の為に、ステーキを注文していた。父の大好物のステーキが、テーブルに運ばれて来た。が、彼女は一口も食べなかった。食べられなかったのには理由があり、食事の前に、サンドイッチを食べていたから。豪華な食卓は、彼女には見るだけのものになった。彼女にとって、日本は、期待していた所ではなかった。ニューイングランドの静かな自然と、燃えるような紅葉の中で暮らしているので、日本の騒然としたやかましさ、狭さ、混雑を体験して、思いと随分違ったようだった。日本人が好きな滝と、アメリカンが自慢するナイヤガラの滝とには、大きな隔たりがある。
 いつも恒例になっている、近江神宮に行くまでの道路、ものすごい渋滞が続いた。車中から、マクドナルドドを見つけて、彼女は声をあげる。私の父に、食べさせてあげたい、と。 父は勧められた、マクドナルドを口にして、「美味しい」と感心しとようなジェスチャーを見せる。
 絶対に口にすることのない食べ物を、父は美味しいふりをして食べていた。彼女への思いやりで。
 父は、彼女へのプレゼントに、時計を贈った。その時計が壊れて、他のものと交換しようと言ったけれけれど、彼女は、同じ物でないとだめだ、それがだめならこの時計をもらうと言い張った。父の心、この時計を選んだ父の心が大事なのだと。

おそらく、彼女は、大自然の中で、結婚して、沢山の子供達がいて、感謝祭には、好物のターキーを焼いているだろう。家族が集まっているだろう。回りにいる人達は、皆、ホットで優しさに満ちていた。 過ぎ去りし日の、アメリカンを迎えてのお正月、前のテーブルを通じて思い出された。  

Posted by アッチャン at 14:21Comments(0)