2009年02月04日

2月花形歌舞伎、松竹座

 

松竹座 花形歌舞伎 http://www.shochiku.co.jp/play/shochikuza/

 2月の松竹座は、歌舞伎界の若手スターの揃い組による、花形歌舞伎の上演が始まったばかり。亀冶郎の舞を存分に楽しみたいので、6変化するという夜の部の方が
良さそうだと思っていたが、昼の部も、見逃せない舞台だ。歌舞伎十八番の「毛抜き」の主役を、中村獅堂が、ダイナミックで伸び伸びとした演技を披露している。亀次郎さんは、腰元役でわずかしか出番がないが、しなやかで美しい身のこなしに魅了される。先日、映画「禅」をみてから、益々好感を持った、勘太郎さんは、女形のお小姓役。会場は、若いフアンが多い。花道に面した席なので、役者さんの顔をすぐ身近で見ることが出来た。幕間に、席を立とうとしたら、再び幕が開き、今出演していた役者さん達が、節分の豆まきを始めた。獅堂さんが、花道の私たちの所まで来て、豆をまく。「獅堂さーん」と声をかけると、豆を私の方に投げたので、しっかりと手につかむと2袋あった。それをズボンのポケットに入れて、亀冶郎さんが花道にやってくるのを待って、今度は「亀冶郎さーん」亀冶郎さんも、私の方を見て、豆を投げ、手で受けると、また二袋。節分とは知らずに、チケットを買っていたので、なんてラッキーなんだろう。あれ嬉しや。



二幕は、七之助さんが、「鷺娘」を悲しく、はかなく、けなげに、美しく舞う。玉三郎さんが、七之助さんに、自分の芸を熱心に指導しているのは、ひょっとしたら、玉三郎さんの後継者として、七之助さんを、と思っているのではないだろうか。七之助さんだったら、十分にその素質はある。美しさといい、可憐さといい、秀でた才能を持っていて、舞も上手い。これからどんどん良くなっていくだろう。玉三郎さんの指導の成果なのか、素晴らしかった。着物を何度も変えて、白鷺の恋の行く末を表現し、最後に雪の降りしきる中で、情熱的な赤の衣装で命つきる舞は、美しく、狂おしく、かわいそうで泣けてくるほど、見事に踊りきった。




3幕は、「女殺し油地獄」去年の7月に、松竹座で、市川海老蔵さんが、演じる所だったが、怪我の為に、仁左衛門さんに変更されて、大好きな仁左衛門さんの舞台を見ることができた、出しものだ。今回は、片岡秀太郎の養子である、愛之助が演じている。所どころで、ふと仁左衛門さんに、よく似ていると思われる。片岡仁左衛門さんの、後継者に相応しいとすれば、松島屋さんの中では、愛之助さんぐらいだと思われる。仁左衛門さんの息子、孝太郎さんは、おやまだから、後継者としては無理だろう。
「油地獄」では、亀次郎さんが、器量よしで、魅力的、世話好きな、同業仲間の奥さんを演じて、与平の相手役、女房お吉。昨年の7月の舞台では、孝太郎さんが、その役だったので、親子で共演していた。亀冶郎さんは、関東の人なので、せりふ回しが江戸っ子風になっていて、きりっとして、リンとした美しさがあり、長身でか細く、役どころにぴったりで、美しさは格別、演技力は言うまでもなく、踊りの名手なので、素晴らしい。



歌舞伎に興味のない人でも、この舞台なら、十分楽しめること間違いない。贅沢な使い方は、こういう時に使うもの、とほれぼれと感じ入った次第でござります。夜の部は、天井桟敷で買ってあるものの、清水の舞台から、飛び降りたつもりで。ええい、ええい、もう1枚買ってこましたろか。桟敷じゃ、桟敷じゃ。歌舞伎は桟敷が一番じゃわいなあ。
 ところがですね。もうないと思いますよ。そんな良い席は、とっくに売れてしまってます。ためしてがってん。

 
  

Posted by アッチャン at 03:13Comments(0)art