2009年04月07日

オルセー

 
ミレー

  第一日曜日がフリーだということは、パリに住んでいる人達にも、絶好の入館日であることは変わりない。お金をかけないで、ストレスを解消する方法にかけては、スペシャリスト達、その上、不景気で失業者が増えているのに、物価は昨年よりもさらに上がっている、とあっては、オルセー美術館の前で、待つことくらいなんでもない。私の後ろにいるカップルに声をかけられた。手にピーナツチョコを持っていて、どうか?と指しだす。
 ノン、メルシー、メ、メルシーボークー 

 


 話好きのフランス人は、太陽が燦々と降り注いでいれば、満足なのだ。どんよりと曇りがちのパリを離れて、ミディ(南フランス)にバカンスに出かけるまでは、まだ2,3ヶ月ある。冬の間にも、太陽があれば、薄暗いアパートにはいられない。外に出て、プロムナード(散歩)が好き、公園で、本を読みながら、つかのまの太陽を浴びる。
 汗が出るほど、暖かい日曜日だから、なおさらに人が多い。でも、結構人が流れていく。セーヌ川沿いまで並んでいるので、どうなることかと懸念したけれど、意外に歩が進んでいく。 私の後ろには、いつのまにか前に並んでいたはずの日本人らしい婦人達が。話し声が聞こえてくる。私が日本人なのかどうか、彼女達にもわからないし、気にかけてもいない。相続の話をしている。お金の話から、宝石の話になり、話は延々と続けられる。
 おかげで、並んでいる時間が気にならず、人の話を盗み聞き。互いに、お金持ちだ、と言い合いしているのだから、譲り合うにしても、あまり奥ゆかしい話ではない。
 お金持ちなら、日曜日に並ばないで、もっと空いた日もあろうというもの。でもお金があるなしは関係ない。得した事が嬉しいのは、皆同じ。
 
 


オルセーの入場料は8ユーロ、やはり上がっている。失業者ならいつでも無料だが、何か証明書がいるのだろうか、ただ失業(ショマージュ)だと言えば良いのかな。
 介護の必要な身障者と付き添い(無料)なら目に見えるけれど、失業しているのか、いなかなんてわからない。
 アーティスト、報道関係の仕事をしている人、など無料入場許可の人達の条件が書かれている。昔、従姉妹にアーティストのカードを借りて入った時は、心臓がどきどき、ひやひやしながらだった。止められた事はなかったけれど、ああいう思いをするのは、若い時だけで十分。貸してあげると言われても、悪魔の誘いには応じない。 
ルーブルの入場料が9ユーロだというと、昔は6フランだったらしい。6フランが1ユーロくらいに変換されているのだから、そのインフレ率たるや、いかに。



海外美術の乏しい日本の美術館が、断腸の思いで購入する、わずかな美術品とは、比べようもなく莫大で、お金を使うわけでもなく、今も毎日のように、寄贈されている(イブ、サンローラン寄贈品も早、展示されていた)、ルーブルや、オルセーは、美術大国のフランスなのだから、無料に近くても良いのに、傲慢というほかない。日本の国立美術館の常設は、400円くらいだ。アメリカのワシントンは、ほとんどの美術館が無料、ニューヨークのメトロポリタンでも、あくまでもサジェスチョンで、自分で決めて良い。1ドルでもチケットが買える。毎週金曜日は、20ドルもするMOMAだって、フリーになる。
パリの美術館は、月に一度しかフリーの日がないし、これだけ入場料が高くなっても、観光客が喜んでいるのだから、とあぐらをかいているのだろうか。

 

日本に来る特別展の入場料が高いと思っていたけれど、同じになってしまっている。とはいえ、オルセーは、オルセーだ。パリに来れば、一度はここに来ないと収まらない。ミレーの作品が沢山あるのが嬉しい。彫像はロダンで溢れている。ロダンの弟子で恋人だった、カミーユ、クローデルは、作家ポール、クローデルの姉で、狂気生きた女性だ。ロダンの彫像と、彼女の彫像が並んで展示されている。年老いた老女(エミール、クローデル作)と年老いた男(ロダン作)

 カミーユの作


五階にある、印象派 の美術品は、ゴッホ、ゴーギャンの作品が多く、日本の教科書でなじみのあるもの。親しみのある作品が多い。
吉田さんの奥さんが、ゴーギャンを研究して、本を書かれたのは、ゴーギャンに吉田さんが、似ているからだろうか、などと話し合ったことを思い出す。


 

今回見てみれば、それほど似ているようには思えない。それよりも、炎の人、ゴッホが自身の肖像画を描いたものの方が似ているように思われた。壮絶な生き方をした目が特に。  

Posted by アッチャン at 18:33Comments(0)

2009年04月07日

マルシェ

 
 


 マルシェとは、市場のことだけど、週に2回くらい、市が立つ。ジャンヌ、ダルク教会の側に出る市場にも、新鮮な食料品がそろう。洋服や、革製品、花などの植木鉢などの店も出るけれど、皆のお目当ては、食料だろう。取れたての地の野菜や、新鮮な魚、自慢のチーズなど、安くて美味しい店には行列が出来ている。 みんな良くわかっている。
 私の目的は、おばあさんの「卵」だった。去年、息子が洋服のポケットに入れて税関をくぐりぬけた卵を売っている。アメリカでは、生み立ての新鮮な卵が買えないと持って帰った。そういうことがあって、なんだか、このおばあさんが持ってくる卵でないと、買えないと思うようになった。
 大きさで値段をわけていて、随分お年なのに、頭はしっかりしている。6個で1,9ユーロという、小さいサイズの卵が売れているので、私もそれに決めた。4個買ったら、1,4ユーロ、即座に計算してくれた。
 魚屋で、少しばかりエビが買いたかったが、長蛇の列に我慢できない。
ビールがないので、エドというスーパーに入る。買い物をして、並ぼうと思うと、ここもすごい。何列もに並んで待っている。あきらめて帰るにも、戻れない。で仕方なく並ぶ。 フランス人の辛抱強さには驚いてしまう。美術館無料の日には、よくまあ並んで待つこと。1時間や2時間だって待つ。5ユーロで買えるチケットを求めて、2時間くらい前から並んでいる。それでも買えない日もあるというのに。
 
 


近くのパン屋さんにも、長蛇の列が出来る時間帯がある。一個のパンを買うのに、外の寒さを我慢して待っている。
 このスーパーでも。アパートの下のスーパーが閉まっているので、よけに人が多いらしい。やっと私の番が回って来た。袋がほしいと言うと、3セントだと言われた。うすっぺらい代物で、瓶を入れると破れないかと心配になるようなもの。日本の、しっかりした袋が5円 というのとは訳が違う。ほとんどの人が、買い物袋持参だ。
 アメリカのように、財政危機だというのに、スーパーでいくらでも袋が消費され、高級スーパーでは、分厚いナイロンの豪華なバッグに入れてくれる。紙の袋も随分しっかりしたものを使っていて、その重さだけで、ものを入れると重さが増える。消費大国の面目にかけて、けちなことは出来ないのだろう。
辛抱の足りなすぎるアメリカ、辛抱しすぎではないの?と疑いたくなるフランス。そう、長時間のストライキが、それを象徴している。  

Posted by アッチャン at 18:22Comments(0)

2009年04月07日

マラソンに出会った



 

 朝8時20分にアパートを出て、ルーブル美術館に行く。地下から入られるルートがあるのに、また地上にしかでられない。けれど、そのおかげで、マラソンに出くわした。
 ルーブル美術館前の沿道には、応援をする人が沢山いて、スイスの羊を追うベルを鳴らしながら声援を送る人や、大きな声をあげたり、太鼓の音も聞こえて来て賑やか。

 



コースに参加している人はもの凄く多い。雪崩のように走り去っていく。速度が早いのにびっくり。中には、凝った衣装に身を包
み、あるいは、ほとんど全裸の状態で走って行く。、一瞬なので、後を追う人の軍勢に押されて、写真が撮れない。
これは有名なマラソンに違いないと思いながら、しばらく圧倒されて見ていた。走っている人の嬉しそうな表情、まだ走り始めたばかりのようだ。出発点は、すぐ近くのチュルリー公園あたりでは?それとも凱旋門?歓喜に踊る表情。

 ルーブル美術館の前には、それでも結構沢山の人が並んで待っている。昨日からひどいドライアイが、ますますひどくなって、目薬を入れながら、がんばっていた。モナリザの前に張られたロープは、去年よりもさらに遠くになり、以前のように、順次歩いて、モナリザの前を通っていくようなルートはなくなっていた。


 




大回廊に、レオナルド、ダビンチの絵画が6枚ほども並んでいる。それだけでも圧巻というべきなのに、ルーブルの所蔵絵画は、桁はずれてすごい。回廊にはいる以前、ニケの像を見て、次に、私の大好きな、ボッティチェリーのフレスコ画のおおきなのが二枚、そして入ると、有名な「カナの結婚」の巨大な絵画が迎えてくれる。フランス絵画では、「ナポレオンの戴冠式」、ルーブルは、来るたびに、初めて見るような錯覚に襲われる作品がいくつもある。大きすぎて、隅々まで見ていないから。 1時間半もいると疲れが出る。あとは、フェルメールでも見て帰ろうかと、リシリュー館に入ったつもりが、エスカレーターをいくつか乗って、出口に出てしまった。いつもなら、もう一度並び直そうかと思うが、あまりの人、目が痛すぎるので、一旦、このままアパートに帰ることにした。  

Posted by アッチャン at 18:18Comments(0)パリにて