2009年05月05日

雨上がりのルクサンブルグ公園


 






ザッキン美術館から、ルクサンブルグ公園は、目と鼻の先だ。雨上がりなので、土が粘土のようになり、水たまりが出来ている。
 平日なので、人は少ない。あちらこちらに置かれた椅子やベンチ に水滴がたまっている。でも、だから、緑が美しい。太陽が当たっている場所はすでに乾いている。公園のベンチに座って、恋人達は、周りは見えないと、熱い抱擁をかわして、一つにとけ込んでいる。公園の一角で、男達が屯している。チェスをする人々だ。




 セザンヌの絵画に「チェスをする人々」とい名画がある。こういう光景を描いたのかしら、とふと思う。カメラマンが大きなカメラを熱心に彼らに向けている。




 私も、と一枚撮ろうとしたら、二人でチェスをしている老人の一人が、ぎょろっと私を見たので、引っ込めた。幾組もチェスをする人々が。チェス盤の周りで、その成り行きを見ている人達も、次の順番を待っているのだろうか。それとも賭をしているのか。




 緑の中に入ると、ひやっとして冷たい。太陽の中には人が集まり、森の中は、静まりかえっている。







 花を美しい季節がいいなあ、こういう時期を知ってしまったからには、もう寒い、凍てつくようなパリに戻れない。秋のパリにあこがれていながら、まだその機会を持たない。きっと寂しさが、冬以上だろうな。これから寒さが身に染みるようになって、枯れていくパリは、恋も終わり、身固めをする冬までの辛い季節に違いない。



  

Posted by アッチャン at 01:45Comments(0)パリにて

2009年05月05日

ザッキン美術館




 ブルーデルの弟子で、ロシア生まれのossip Zdkine(1890-1967)が妻のヴィランティーヌと暮らしたアトリエ兼住居を1982年から「ザッキン美術館」として、パリ市が公開している。ザッキンは親日派として、日本にも、その作品が、沢山あるので、ザッキンのフアンも多いかもしれない。美術館へは、モンパルナスから、一駅、ヴィヴァンで降りる。工房や、画材の店がならぶ通りを見ていると、画家の町という匂いが漂う。




 通りを奥に入ると、雨上がりに濡れた緑がつややかにわずかな光を浴びている。





庭の緑の中に、ザッキンの彫刻がいくつか展示されている。生きた時代の代表的な彫刻達。ザッキンの彫刻は、プリミティブな形に惹かれ、木が持っている力に形を加えるというような作品から、鋳造、これもプリミティブなデザイン文字から人間を表現したもののように思われる。パリ市の美術館は通常は無料だが、特別展を開催中なので、4ユーロだった。








住まいを美術館としているので、特別展を分けるというわけにはいかないから、無料では見られない。中は3部屋と、小さな突き出たベランダ、その奥に明るいアトリエという構造になっていて、画家がここで実際に生活し、制作していたのだと思うと、臨場感にも浸ることが出来て、素敵な美術館だ。窓から眺める庭も一段と美しく感じられる。
 最初の部屋には、木造のプリミティブな神聖を感じられる彫刻が迎えてくれる。



次に小さなベランダに「金の鳥」(1930年の作)の像が人目を惹きつけるように一つだけ展示されている。木造から鋳造に、そして大きな木造の作品へ。




鋳造作品は、ザッキンが下絵に描いたものと、実際に出来た彫像とを、ダブルで展示している。









普段は公開されることのない、貴重な、デッサンと素描が特別展として、2009年3月26日から7月5日まで、公開されている。
 ザッキンは、モンパルナスで、藤田継治との制作交流が縁で、日本でも個展をし、結婚の仲介も藤田継治に依頼したとか。
モンパルナスには、画家のアトリエが多いが、昔は、モンパルナスは、村だったと吉田さんから伺った。庭付きの家が普通にあって、このザッキンのアトリエも田舎屋の面影を残している。







 今では、モンパルナスのアトリエは、ほとんど高層住宅になっているが、ゴッホのお墓のある、シュール、エ、オワーズに、画家村が出来ていて、そのあたりに住んで、アトリエを持っている人が多くなっていると聞く。  

Posted by アッチャン at 01:05Comments(0)パリにて