2009年08月25日

憩いの神戸屋


 


母に会いに行くと、3階のフロワーは、満員御礼の札が出そう。昨日から、新しく入居者があり、3人になったので、今日から4階にいるのかと期待したら、まだ3階にいる。介護に携わる人と入居者12人で、狭いリビングは、クーラーが切っているのかと思うくらい、むっと熱い。
 今日も、母はポツンと一人離れて、座っているのかと思ったら、狭いソファーにひしめき合って座って、話をしている。昨日も、その前も、母は一人で座って、バッグの中を探して俯いていた。
一昨日、宝塚祭りが、すぐ近くの公園で催されるので、母を連れて行くように依頼されていた。入居者もあとで行きますというので、私は母の手を引いて、先に出た。日差しが熱く、たこ焼き、氷、カステラにタイ焼き、出店が出て、野外ステージでは、音楽隊の演奏が始まっていた。
母は、興味が全くないと言い、おもしろくもなんともない、熱すぎるというので、少し歩いて戻って来ると、車椅子に乗って、歩ける人は歩いて、グループホームの入居者を引率しながら、職員が総動員でやってくる。私と母は、暑さを逃れて、神戸屋のレストランに逃げ込む所。
 妹夫婦と娘、そのまた娘の赤ちゃんが、その前日に来てくれたことも、神戸屋のレストランに入って、食事をしたことも、何も覚えていない。
同じケーキを食べながら、初めて食べる感動を覚えている。ケーキを2個食べて、5時に間に合うように、施設に帰ると、入居者の第一陣が、ちょうど帰ってきた所だった。
母と一緒に入居した人が、車椅子を押しながらの職員と一緒に帰ってきた。頭に牛乳の紙パックで作った帽子を被っている。市民ボランティアにもらったものだろうか。顔中に汗を滴らせて、爽快そのものといった笑顔。彼女は、徘徊が問題で、入居してきた人。外に出て歩きたくて仕方がない。背は高く、スポーツ万能だったという健脚自慢。職員は「足が速くてついていくのが大変。」と。疲れきった顔を押して、車椅子の人を下して、再び、歩道橋に空の車椅子を持って行く。まだまだ、公園の芝生でへこたれている入居者が待っているという。健脚の徘徊者なら、まだ十分余力はあるものの、どこにいくかわからないから、お手伝いというわけにはいかない。やれやれ大変だ。彼女は、もうすっかり、このグループホームの生活に馴染んでいるかのようにみえる。お料理が好きだと言っていたが、確かに、いつもキッチンに入って嬉々として手伝っている。もう一人は、最初の見学に来た時にも台所にいた、最長老らしき入居者。見かけはしっかりして、小公女に出てくる、ミンチン先生みたいな感じの人で、身なりもきっちり、頭もきっちり結いあげて、背筋もピンと張っている。
テレビは、連日、甲子園野球の中継。スポーツ好きの健脚ばあさんは、これがあるから、余計に元気なのかも。
毎日、帰る支度をして、窓辺から外を眺めている母は、一向に馴染めない。
 「しょうもない所なのよ。おかしな人ばかりだけど、根性悪はいないわ。」
今日も、母の足の為にと公演を散歩して歩いきながら母の話を聞いている。
「何もおもしろいことないわ。興味は湧くものなにもないわ。」とぶつぶつ言いながら歩いていたが、ベンチに座り、子供が遊ぶ姿を見て、
「ここは良いところね。気持ちが良いわ。あ、カラスが。カラスって仲が良いのよ。」
久しぶりに、母が歌うのを聞いた。「カラス、何故泣くの。カラスは山に。可愛い、七つの子があるからよ。可愛い、可愛いとカラスは、、」
「あ、飛行機が、あんなに遠くまで飛んでいく。とんぼが、ほら。」
母の興味の蓋が開いている。
そよ風が吹き渡り、木陰のベンチに座っていると心地よい。お母さん達が、狭いアパートから抜け出して、子供達を遊ばせている。

 


再び、母の手を取って歩きだすと、暑さと日差しがまだきつい。5時まで時間があるので、再び神戸屋に。
 美味しそうなメニユーに、母の眼が輝く。
「これにするわ。美味しそうだし、高くないわ。」
 (5時半に夕食を準備しているから、こんなの食べたら、夕御飯が食べられないから。)
「しょうもないものが、ちょぼっとしか出てこないから、大丈夫。」
いつものように、コーヒーとデザートだけ注文した。
窓から、母が施設から眺めている窓が見えている。洗濯物が揺れている。
介護支援センターと書かれた大きな文字と、職員が花火大会に便乗してビアパーティーを開いた屋上に、まだ赤白の提灯が風に舞ってい
  

Posted by アッチャン at 19:01Comments(0)日々の事