2009年08月31日

苦虫が笑った


 

4階に新しい入居者が入って来た。とても上品な感じの人で、端正な顔立ちの美しい人だ。4階で寝起きしている3人が一つのテーブルに座っていた。そこで食事をいただいているようで、ヘルパーさんが、「ここで食べている人達は、結構食べてくれてます。」と言われる。
母はプレドニゾロンの影響で、幾らでも食べられる。大柄な運動大好きな人は、食欲旺盛の感じ。聖心のシスターは、おしとやかながら、お手伝いが好きな人だから、お腹は空くのだろう。
本来3階で生活している人達は、中央の長いテーブルを囲んで食事している。その人達は、ずっと座っているか、自分の部屋で寝ているかのようだ。その中に一人だけ男性が混じっている。一日中、同じところに座っていて、しゃべらずにいる。苦虫をかみつぶしたような表情で、笑った顔を見たことがなかった。
私は母に面会に行くと、3階のテーブルに座ったまま、外を眺めている。
新しく入って来た女性は、一見まともそうなのだけど、「私達、すっと一緒だったわね。子供の時から一緒にいるのよ。」とか、部屋は熱いのに、
「今日は冷えるから、外出は控えますわ。」母に「どうぞ、温かくしていらっしゃい。」ととても丁寧で、上品な人だけど、話がおかしい。徘徊が問題の女性は、トイレの場所が、把握出来ない。シスターの部屋の前で、トイレだと思い込んで入ろうとする。
 世話をする職員は、9人分の介護日記を、毎日書かないといけない。夕食の準備を始めている人、隣の整骨院に、毎日連れて行くヘルパー。
入居者達は、いつ行っても、ボーっと座っている。手が行く届かないのが見て取れる。グループホームとして,、機能していない。
 




じゃ、散歩に行ってきます、と母の手を取って、狭い通路を歩き始めると、母は、他の人達に行ってきますと、手をあげて挨拶しながら、歩いていたが、なんと、無口で表情のない、男の人に、手を差し伸べて、ハイタッチをする。すると、その男性の嬉しそうな顔。ハイタッチ。その人が笑った。
 
  

Posted by アッチャン at 15:14Comments(0)日々の事