2009年09月17日

帰りたくても、帰さない


  

今朝、友人から電話があった。施設で、満足の行く所などないそうだ。それは確か。家ほど良いものはない。家で、気ままに一人で暮せるのも、家族と一緒に暮らすのも、施設にいるよりはずっと良いだろう。でも、それがかなわないのが現実だ。
 母のように、最初から、家に帰りたいと言わない人は、稀で、ほとんど人は、慣れるまで時間がかかる。帰りたくて仕方がない。私が、入所の翌日に、「母を家に連れて帰っても良いですか?」と聞いただけで、すごい剣幕で怒りだしたのは、入所した人達が、すきあれば逃げ出そう、家に帰ろうと、必死になるからだろう。
 日本のリア王のような、M老人の元に、長女が呼び出されて来ていた。私の知る限りでも、ヘルパーさんが、目を離すと、忽ち怒鳴り出す。居丈高に、「おい」を恐ろしいほどのどなり声で、繰り返す。
 ヘルパーさんが、「帰りたくて仕方ないのです。」と言っていた。
ある時には、1階に座って、一人でおやつを食べている。また、ある朝は、代表の隣に座って、一緒に隣の市役所についていくと、待っていたが、戸口が空いて、外に飛び出した。代表はあわてて、外に追いかける。
(タクシーを止めて乗り込んで家に帰るから。) 家にタクシーを止めて帰ったことがあるらしい。一階にいるのは、隙を見計らっているからでもあるのだろう。
母を病院に連れて行くのに、迎えに行った日の朝、一緒にエレベーターに乗り合わせた人が、M老人の長女だった。
「またお騒がせして。昨夜は、若い男の方がついて下さったのでしょう。その方はどうしてるんですか?」
M老人は、特別扱いされているようだ。無理が通れば、道理引っ込む。代表と老人との勝負は、金権の勝利。金持ちと名声に弱いのがありあり。
私のように、洗いざらしの洋服を来て、化粧なし、お金に縁のなさそうな人間には、高飛車な態度が取れるが、いかにも金持ちの奥様には、対応がまるで違う。帰りたくても、帰さない、二人の熟女のタグマッチ
  

Posted by アッチャン at 21:59Comments(0)日々の事