2009年12月11日

二号様と、土瓶蒸し

 


車で送っていくよ、と行ってくれてたので、4時に起こす。一旦起きて、ソファに横になり、

「ああ、気分悪い。こりゃだめだ。」早くしてよとせかすろ、「出る前にトイレに行くわ。」やっと外に出たら、車を探して見あたらない。自分が運転しなかったので、そこに停めたのかがわからない。坂を下ったり、登ったり、ああ、時間がなくなる。
 「遅れたらどうしてくれるのよ。」
「僕は遅れも困らないよ。」笑っている。
  「気分悪いから水を買って行くわ。」
 「冗談じゃないわ。帰るまで我慢してよ。」
 「時間どれくらいかかるの?」
 「40分くらいかな。」
 「それじゃ、全く間に合わないじゃない。」
 かっかされっぱなし。
 信号にひっかかると、なかなか、色が緑にならない。
 「頭に血が上るわ。」
 と言いながら、空港まで、15分かからなかった。息子は知っていて、からかっているのだ。
母と3人で黒川温泉に行った時もそうだ。
飛行機に間に合わなくなるから、と言うのに、息子は、途中で、お腹が空いたといって、レストランに立ち寄って、ラーメンセットなどという時間のかかるものを注文した。
私と母は、食べずに、いらいらしながら待つ。さんざん悪態をついてやるのに、平気で、笑って喜んでいる。腹が立って、腹が立って。でも、十分余裕を残して、空港に帰ってきた。母と私は、空港でラーメンを食べる時間があったのだけど、知らない土地で、どれだけ時間がかかるかわからない時には、こちらがまいってしまう。
 ニューヨークの空港へも、1時間前に着いて、何の問題もなかったのだけど、それまで、私を怒らせるのが、息子の喜びであるらしい。ケラケラ笑っていると、余計に腹が立って仕方がない。それを見て、また笑うのだから。



ともあれ、JFKのラウンジは、今回三回使った。サンフランシスコまでは、15000マイル使って、グレードアップしていたので、寝ようと思っていたが、コンピューターの無線サービスがうまくいって、繋がったので、寝ないでコンピューターをしてしまった。 6時間半、退屈はしなかった。サンフランシスコからは、エコノミー席だけど、並びが空いている席だというのに、寝られるなと期待して、飛行機に入ると、おじいさんが、真ん中に座って、自分の荷物で席を確保している。じいさんは、飛行機のアテンダントに、何かをあげている。来る度にあげるようだ。
「藤本様、そんなに頂いたら、二号様に差し上げるものが無くなってしまいますわ。」と彼女が言っている。
そのじいさんは、アメリカ国籍になっている。英語の新聞を読み、日本語の方は、あまり上手ではなさそう。へえ、二号さんに会いに行くのか。魅力のなさそうな、がりがりじじいで、食事が終わると、オーバーを着込んで、その上に、毛布をかけ、手袋をして、肘掛けを倒して、横になって寝てしまった。そのまま、トイレと食事に起きるだけ。空港が近づくと、アテンダントがやってきて、
「藤本様、土瓶蒸が待っていますよ。」土瓶蒸しが食べたいと、彼女に話していたのだろう。土瓶蒸しと、二号様、が、じじいの日本滞在の目的であるらしい。
飛行機が着くと、足下に置いていた、大きな布のずだ袋のようなバッグとキャリーバッグと二つも持って、出て行く。相当力はある。よぼよぼしているのは、顔つきだけで、案外元気なじいさんだった。私は、寝られなかった。年寄りに席を譲るのは当たり前だから、文句は言えない。  

Posted by アッチャン at 14:00Comments(0)ニューヨークにて

2009年12月11日

猫の埋葬



 晴れている時の公園

 サンフランシスコから帰った、その夜は、ぐっすり寝てしまった。二人はすでに起きて、朝食の準備をしていた。
「何時?」
「10時過ぎ。」
「え、そんな時間?」
子供は、金曜日からパパの所で過ごすので、週末は、二人。息子は、週末を楽しみにしている。金曜日はマンハッタンで外食することに決まっているらしい。
 朝食は息子が張り切って台所煮立つ。持って行ったソーセージとこだわりの目玉焼きを作る。 みそ汁は、インスタント、タマネギのスライスは、ガールフレンド、息子は、卵を買いに行って、チコリとオクラも買って来た。 オクラを湯がいて、私がサラダを造る。
 夕方、ステーキハウスに予約を入れてくれている。ピータールーガー、この前美味しかった店で、なかなか予約の取れない店。 
 それまで、たまった洗濯をして、飛行試験の勉強をするらしい。
メイン州時代から飼っていた、猫の骨を、近くの公園に埋めてやろうという。彼女に、土に返さないと成仏出来ないと言われたからという。メインにいた頃から飼っていた猫で、病気になると、何がなんでも助けてやると言って、随分お金も注ぎ込んだ。亡くなると、DNAを保存してもらい、火葬してもらって、御骨は手元置いていた。DNAは?と聞くと、会社がつぶれてしまったそうで、どこに消えたかわからない。




 公園は、枯れ葉が埋まり、雨が降っていた。骨壺を初めて開ける。ビニール袋の中に納められた骨は結構ある。メモリアルカードが添えてある。土を掘り、骨を埋めて、その上に枯れ葉で覆って、3人でしばらく黙祷。
 私が居るときに、埋葬出来たので、良かった、これから冬になって、雪に埋もれるから、ゆっくり眠る事が出来るだろう、と息子は気になっていた事を終えて、ほっとしたよう。あれだけお金を使って、なんとかしてやらないとと必死だったが、今となっては、可愛そうな事をしたと思っている。
 息子が、埋葬する気になったのは、新しい猫がやってっきたからだと思う。
 埋葬をすませ、息子達は洗濯をすませる。私はカレンダーを買いにメトロポリタンへ。3時半に、ベッドフォード駅の角で待ち合わせだと言われた。地下鉄で、一日券を買おうと思ったら、クレジットが使えない。で、レギュラーを買った。86駅で降り、いつもはバスに乗るのに、歩かないといけない。雨の中歩いて、美術館に入ると、 入館希望者でごったがえしている。4つのチケット売り場に長い列が出来ている。こんな光景を見たのは初めて。
 私は、トイレに行きたくて、チケットを買わずに、入った。普通は、止められるのに、あまりに混んでいるので、チェックも出来ない状態だ。トイレに入っても、これも一杯の人だった。トイレに並び、カレンダーを買うのに並んで、待ち合わせの時間に間に合うように、走りに走って、地下鉄駅に。ベッドフォードまで行くのに、マンハッタンを3時に出れば間に合うと言われていた。駅に着くと、7分前。雨で寒い日なので、待たせるわけにはいかないと、早めに着いた。指定された角で、待っていると、寒さで、手が凍りそうになる。待てども来ない。もう来るか、もう来るのでは?と雨の中にたたずんで待っていた。だんだん腹がたって来る。こんな所で、待たせて、来ないなんて、非常識だ。30分待って、通りの向こうを見に行き、戻った所に、ガールフレンドの声がした。




 トイレに行きたいのも我慢して、何度も帰ろうと思いながら、待ち続けて、堪忍袋の緒が切れた。彼女に不満爆発。
 二人は、車で来たのだという。余計に腹が立つ。もうレストランになど行きません。凍えそうで、風邪を引いたら、どうしよう。車でぬくぬくとやってきて、しかも30分も遅れて。ないがしろにするのもいいかげんにしろ。どうせ待っているだろうぐらいにしか考えていないのだから、と彼女に当たり散らしてしまった。
 息子は、バーで、ビールを注文して、待っていた。トイレに行っている間に、彼女は、泣いている。息子は、なんで彼女に当たるのか、と問いつめる。


 途中、事故があって、15分遅れただけで、私が待っているので、彼女を下ろして、探しに行ってもらったという。指定され場所は、車で来たので、ぐるぐる回って探して、、その場所がわからなかったらしい。
 「カフェにでも入って、覗いていたら良かったのに。」と息子は言う。「なんで彼女に当たるの?僕に怒ればいいのに、」と逆に怒られる始末。
 確かに、そうだとは思うが、もう後の祭り。二人はどっちでも、連帯責任だわ、と反論し、それでも彼女に当たるのはお門違い。彼女に謝って、ビールを飲んでいると、暖かくなってきた。皆動きたくなくて、ステーキハウスはキャンセルして、そのままそこでソーセージなどをビールのあてに食べていた。どのくらいそこにいたのか覚えていない。帰りは、彼女に運転してもらった。
疲れすぎて、酔いが回って、シャワーを先に使って、息子が冷蔵庫から、残り物だしてきて、ワインとそれらをまた食べて、寝てしまった。目覚めると12時、それからは、出かけるまで起きていた。

   

Posted by アッチャン at 13:01Comments(0)ニューヨークにて