2010年05月04日

ケ、セ、ラ セ、ラ 




 従姉妹がアトリエの前で、チューリップの鉢植えを金網で囲っている。
先日、10年来、彼女が買っていた、犬が、店の前で、自動車に轢かれて死んだ。自動車道路ではない。荷物をいれるのに、乗り上げて来た車に。
 死んだ場所に、石を置いて、その周りを金網で囲んでいた。
 チューリップは、ほとんど咲ききっている感じだ。近くの低所得者向けのスーパーで
12で2ユーロの苗を買ったもの。


 どうして金網なんかいるのか、と聞くと、彼女は
「見てよ、花を折って持って行かれて。こちらの人間は、きれいだと思ったら、盗っていくから、盗られないように、金網で囲っておかなくちゃ。」
私が手伝おうとすると、怪我するから、触らないで、と。彼女の手は、小さな傷跡だらけになっている。
 ドロボー天国というわけだが、彼らに罪の意識は全くないだろう。きれいだから、それほしいから、持って行くという感覚なのだろう。
 友人のアパートに、ビニールに包んで、流しの下の奥の方に、じゃまにならないように置いていた、フライパンが、今回、行ってなかった。アパートは組み立て家具を入れて、改造し、整理したようなので、聞いてみた。


 友人のメールには、「大事なものは、置かないようにしてください。」とのこと。
 重くて大きめのフライパンなのに、持って行った人も、荷物になって大変だっただろう。それでも、確かに、けちな私にしては、安物をやめて、テフロン加工のしっかりした分厚いフライパンを選んだ。
 持って帰りたいフライパンだけど、重いのでやめた。日本に帰り、同じようなのを探したが、見つけられずに、妥協ものを買って、使っている。
 私の前に、借りて入っていたのは、日本人ではなかった。友人のアパートにあるものは、なんでも、使って、なんでも気にいったものは、お持ち帰りするのは、彼女には自然なこと。彼女に罪の意識はまったくない。
お国柄が違うのだ。
昔、従姉妹が、日本に帰る間、アパートの留守番をしてもらうのに、貸したら、大事なものが無くなったと怒っていた。 高級なハンドバッグや、洋服が無くなるのだ、と。絵を教えている、婦人が、お金持ちなのに、従姉妹の絵筆を何本も持って帰った、とか。
その当時は、人のものを勝手に持って行く人なんて、そうそういるものではない、と思っていた。日本人の常識では考えられないことだ、と。
 友人のアパートを借りている人達に、そんな話は聞いたことがなかった。友人は家財道具を置いて、自分の住まいを貸している。

 日本人も、ラテン系の人達も、人間でくくれば、同じなのだけど、考え方の違いは、大きいのかもしれない。どちらが正しくて、どちらが間違っているわけでもないような気がする。
友人が言うのが、本当だ。「大事なものは置かないように。」
   

Posted by アッチャン at 17:25Comments(0)日々の事