2010年07月18日

兵庫近代美術館「REIKO」



 

兵庫近代美術館で開催中の「REIKO」は、明日まで開催中です。
 チケットを早くからもらっていたのに、体調が悪かったして、結局終わり際に行ってきました。混んでいるのを承知で行ったら、意外に空いていて、ゆっくり鑑賞出来ました。 岸田劉生の「REIKO」がポスターに使われているのは、神奈川県立美術館所蔵の代表的な作品だからでしょう。
 

岸田劉生の作品展かと間違う人も多かったかもしれませんが、時代と共に、活動いあた、日本の画家の100年史を、兵庫と、神奈川の両県立美術館が所有している絵画で紹介した美術展でした。
 時代を背景に、インパクトのある作品も多く、中でも、道半ば、或いは、まだこれから、という若さで、病死した画家に、共通するのは、死を含んだ精神的な壮絶さ、ひたむきさ、独特の暗さ、です。
 20歳でこの世を去った、関根の絵画は、友人の母親を描いたものですが、目の凄さ、底の底まで見通すような怖さを感じました。
 劉生の「REIKO]は、品格のある怖さを秘め、揺るぎようのない、絶対的な作品です。
 私は、中でも、心を惹かれたのは、松本俊介の「立てる人」という作品。もう一つの「橋(東京駅裏)」というのも、素晴らしい。



 戦中の人権を奪われた暗い時代に、すっくと立つ青年が、背景を小さく描くことで距離感を持って、大きな揺るぎない、意志の存在として描かれています
 佐伯雄三の作品「滞船」は、パリから、引き戻され、描くべき対象を喪失した心の暗さが見られます。
彼らは、30代で、胸の病に冒されて、この世を去っていった人達。



 パリ遊学で学んで来た人達の、フィービズム、シュールレアリズム、キュビズムなどの影響を受けた作品には、試行錯誤の模索がみられ、その以前には、日本のジャポニズムの影響を受けた、印象派の画家達がいたのですが、そういうことを考えながら、見て行くと、 興味深いものがあります。
林武の「裸婦」はモジリアーニを、 山本敬輔の「ヒロシマ」は、ピカソのゲルニカを、阿部合成の「見送る人々」は、メキシコのリベラを、想起させる作品です。



抽象画では、吉原治郎の「作品」完璧なコンポジションで、独自性があり、素晴らしい。
 

 私の知らない、作家達の作品も多く、興味深い展覧会でした。  

Posted by アッチャン at 13:21Comments(0)art