2011年09月27日

映画「ディア、ハンター」

 
  
http://youtu.be/3Gqit3zVmyc

http://youtu.be/lqakCa-MysE

 マイケル、チミノ監督の「ディア、ハンター」は ベトナム戦争の悲惨さ、恐ろしさを表現しているだけではなく、アメリカという国の在り方をも問いかけ、批判している点で素晴らしい作品になっている。ベトナム戦争を、平和の尊さの視点で描いた「帰郷」という映画も、心に深く残る作品であるけれど、「ディア、ハンター」は、移民の目を通して、描いている所が特徴的だ。
 彼らは、工場の労働者で、山間の小さな工場町に暮らしている。仕事が終われば、酒を飲み、冗談を言いあい、山でハンターを楽しむながら暮らしている。
 結婚式を終えたら、出征する若者、スティーブンス、ハンターのマイケル、その親友、ニック、彼らは、思うに、イタリア、ロシア、ポーランドから、アメリカに暮らしと自由を求めてやってきた移民のアメリカン。
 この田舎町で暮らす、人々も、イタリア系、ロシア系、ポーランド系などの移民だと思う。演じている俳優達の顔ぶれからも、それが伺える。
  マイケルは、鹿内の名人だったが、戦争で、人間狩りを体験してから、鹿狩りが出来なくなった。
 スチーブンスは、ゲームで、人間にピストルで頭をぶち抜く恐怖に怯えて、気がおかしくなる。マイケルに助けられながら、逃げ延び、ヘリコプターで助けられるが、両足と片手を失い、心を病み、妻と子供、仲間を遮断して、同じように傷ついた人々のいる病院の中に閉じこもっている。
 マイケルとニックは、逃げ延びるが、途中で出会った、軍のトラックに、病人のニックを預けて、1人、戦禍の中に。
 やがて、戦争が終わり、マイケルは帰ってくる。シティーブンスを病院に訪ねると、彼の元に、送られてくるドル札の山。ニックがいるところは検討がつく。ゲーム場で彼を見つけ、見失ってしまった場所に、ニックはいた。彼は、あの恐怖のゲームをやっていた。
 ニックは、マイケルがわからない。精神障害で、記憶を失っている。
 マイケルはゲームを2人で、やれば、記憶が戻るのでは、とあぶない賭に出る。
 ピストルの中に玉を一つ入れて、頭にあてるゲーム。アメリカドル札をかけて、周りの
賭人達がむらがる中。
 マイケルが一発、外れた。森が好きなんだろ?森に帰ろう、故郷に帰ろう、とマイケルはニックの記憶を呼び戻そうと語りかける。ニックが精神を病んだのは、ベトナムで捉えられて、このゲームで死んで行く恐怖からだった。
 ニックにやめろと止めるが、ニックは、一撃、という言葉を思い出しながら、彼が頭にあてた玉が、爆発する。

マイケルは、ニックの亡骸を持って、帰って来る。埋葬が終わり、車椅子のスティーブンスを世話しながら、皆がいつも集まって騒いだ、バーに。
 暗い朝食、台所で、泣きながら卵焼きを焼いている、バーの店主は、アメリカ国家の歌を口ずさむ。
 神の加護をアメリカに
 森と大地の故郷に

 集まっている仲間も歌い出す。
 神の加護が、アメリカに
 森と自然の大地の故郷に

 アメリカは兵士を募るのに、移民や、貧しい人々をターゲットに勧誘している。
 自由に生きることを、平和に生きることを希望して、やってきた人々が、命を投げ出して、アメリカを守るという矛盾と憤りを抱かずにはおれない。
 映画の中で、彼らは、素朴で、優しくて、思いやりが深く、敬虔で、慎ましい。
  それだけに、戦争の愚劣さ、憤り、反戦の思いを深くする。

ロバート、デニーロ、メリル、ストリープ、他の俳優達も、映画で最近も同じみの人達だけど、若くて、魅力に溢れている。

1978年の作品だから。

 

   

Posted by アッチャン at 16:50Comments(0)映画