2012年04月03日

映画「大人の喧嘩」

 


ロマン、ポランスキー監督の作品

 ニューヨークのブルックリン、というだけで、私はこの映画を見たいと思った。
それを後押しするのは、ロマン、ポランスキー監督の作品であること。

 この映画の前に見た、「マーガレット、サッチャー」は、メリス、ストリープの映画なので、期待に期待していたのだけれど、演技が抜群であることは、そうだけど、
 内容事態が、退屈で、すぐに睡魔に襲われる。
 男社会のイギリスに、主婦だった女性が、商売人の娘であった故に、経済感は抜群で、
腹の座った女性の本性を活用して、イギリスの財政危機を救ったのだけど、
 認知症?なのか、夫との妄想を抱いて生きている老婆のサッチャーには、こんなになっていたの?という感想以外には、さして、取り上げるほどの映画ではなかった。

 のに、比べても、比べなくても、「大人の喧嘩」、凄く面白くて、ぐんぐん最初から映画の中に引きこまれて、眠気どころではない。
 もう、もう大笑いしてしまった。



 公園で子供達がいる場面から、一変して、コンピューターに向かって、怪我をした子供の示談書の文章を作っているジョリーフォスターとジョン。C. ライリーのロングストリート夫婦と、怪我を負わせた子供の親であるカウワン夫婦( クリストフ、バルツとケイト、ウインスレット)の二組の夫婦。

子供が歯を二本折って、顔が変形している事実を、感情を抑えて、冷静に話す、妻と、金物商を親の代から受け継いでいる、人の良さそうな夫。
加害者の夫婦は、弁護士の夫と投資コンサルタントの妻。書類をもらって、アパートを去ろうとしていたが、弁護士の夫に電話がかかる。薬害の訴訟に関する話のようで、被害者を押さえ込もうとする強硬な発言。
 弁護士の夫は、子供のことは妻まかせで、子供を交えての話にかかわる暇はないと言う。

 もう少し話を詰めようと、お茶でも、と誘われ、アパートの中で、話し合う内に、それぞれの不満や夫婦の問題があからさまになっていく。お酒が入って、益々ヒートして、表には出さない、本性をさらけ出すようになっていく。
  一幕だけの、演劇を見ているようだと思っていたら、後で、お芝居の映画化だとか。
 
これが、ウッディー、アレンだったら、もっと知的で上品、ウィットを重視した作品なのだけど、「大人の喧嘩」は、人間皆同じ、「暴力的なエネルギー衝動」に突き動かされて
 生きている動物であることを暴露していく。
子供達は、剥き出しの自然体で、大人になると、その衝動が、男で言えば、弁護士(口で相手をやっつける)や、刃物を扱う商い。



 フランシス、ベーコンの画集を見て、静と動の調和だと批評する妻は、人間の調和と連帯を協調して、必死で自分の衝動を抑えようとしていたが、感情が抑えられずに、夫に手を出してつかみにかかる。
 やせぎすのエキセントリックな妻を、ジュリーフォスターが好演技で。弁護士はそういう姿を見て、魅力を感じるようになったと、笑う。
 弁護士の妻を演じるケイト、ウィンスレットは、「タイタニック」のヒロインを演じている、情熱的で、肉感的な女優だが、この映画でも、資産階級の上品でいてセクシーな妻なのだが、胸がむかつくのに効くからと、コーラを勧められ、テーブルにげろを吐いてしまう。美術本を汚し、弁護士の夫の背広は汚れ、お酒に酔って、夫の携帯電話を、花瓶の中に入れて、花瓶の中のチューリップなんか、大嫌いだと叩き出して、胸につかえていたものをはき出してすっきり。

  見ている私も、映画館の深い椅子に、ポップコーンをしきりに食べながら、おかしくて、笑っている間に、身体の痛いところを忘れてしまって、ストレスがどこかにいって、
劇中の登場人物達が、連想セラピーを受けたように、私もつかの間だけど、軽くなっていた。

http://youtu.be/oOsx1g5dDeY
   

Posted by アッチャン at 20:40Comments(0)映画