2012年05月01日

映画「わが母の記」


   



 コナミを出て、あらかじめ予約をしていた、映画「わが母の記」を観に行った。
 前から楽しみにしていた映画だった。
 井上靖の母親を描いた作品。映画の中で、小説の種にされて、暴露されていることへの 不満を娘が語っている。
 映画の中での台詞や進行は、その後の作家の作になっていて、その作品を映画にしているという不思議。
 作家は、身内の恥も、自分もさらけ出すという罪な仕事で、その仕事の御蔭で、家族が養われ、教育を受け、別荘を持ち、毎年、恒例の母親のバスデーを、ホテルを使って、バンドを呼んでの、庶民では考えられない、優雅でリッチ。

 作家は、他の姉妹とは、違って、一人、8才から預かられて、母とは中学まで暮らさなかった。自分は母親から捨てられた、という拘りを持ち続けながら、母親に接して来た。老いと共に、記憶をなくしていく母親に、問いただしてみなくてはならなかった「何故」

 その疑問が、母親の心に中に、最後まで生き続けていた「息子への愛」の証明を見せられることで、作家の心が一瞬にして、氷解し、熱くなる。


 
 過保護なくらい、作家の娘達への愛情、執着は、「母親に捨てられた」心の寂しさ、不安を埋めるものであった。
 寂しさ、空しさ、孤独感と不幸感、が、素晴らしい作品を生み出すために、なくてはならないものでもあった。

 この世に、母親が愛を注ぐのは、第一に、息子。亡くしてならない存在である故に、
母親は、自分の身を切る覚悟で、息子を手放した。
 その辛さ、息子を求めてる母親の心だけは、最後まで死ななかった。

 井上靖は、その母への葛藤と、母の自分への愛の証しを、小説として書くことで、
 母を卒業していったのだろう。
 書くということは、「死ぬこと」出来事の、心の、「死」を宣告すること。  

Posted by アッチャン at 15:57Comments(0)映画

2012年05月01日

香雪「片岡珠子展」と、ピザハウス「ベーネ、ベーネ」


   



 日曜日、香雪美術館で開催中の「片岡珠子展」を観に行った。
 友人からチケットをもらって、日曜日に、昼食を一緒にする友を誘った。
  私は阪急の御影から、友人は、JRの住吉からで、美術館で待ち合わせ。
 日曜日だから、混んでいるかと思ったが、館内は空いていたので、じっくりと見ることが出来た。
 片岡珠子は、103才で亡くなった。エネルギーの凄さ、生命力の強さが、絵画にみなぎっている。
 何度も、落選したというけれど、片岡珠子は、自分に見えるものしか描けない。
 日本画を学ぶものとして、手先は器用じゃなかったのでは?と思われる。
 日本画は、職人の仕事だが、珠子の絵画は、印象派のセザンヌがそうでるように、心で見えるものを、ものの本質を描こうとしている。

北斉


 パリの従姉妹が言っていた。「絵の下手な画家だ。」と。従姉妹は、父親が手先の器用な人で、旋盤を弾かせたら、芸術的な仕事をした。職人芸である。
 昔の絵描きは、職人的な仕事をした。印象派の時代になって、絵画の評価が変わった。 日本画壇にあって、片岡珠子は、げてものだ、と評価されたけれど、「げてものでも、境界線を越えるまで、努力しなさい。そうすれば独自の素晴らしい絵になる。」
と言われて、それが励みとなった。



  自分が見えるままに、描く。そうだから、珠子の絵画の中に、先人の画家達の影響が見受けられるけれど、出来上がった絵画は、片岡珠子にしか描けない作品に出来上がっている。 
 「めでたき富士」と、「面構え」という絵画は、珠子のライフワークになっている。

  「面構え」は、その人間性を表している。その人間の品位を表現している。
  片岡珠子は書いている
  初めて会ったが、どういう人間であるのか、顔をみるとすぐにわかる。二度と会いたくない人か、又会って付き合って行きたい人か。



  今回の展覧会で、興味深かったのは、「足利義満」の面構え。足利尊氏、足利義満、足利義政、の面構えを描いているが、出品は、「足利義満」
 「徳川家康」も、なるほど、と思わせる。
 「北斎」は、宇宙的存在で、知能指数が200くらいに見える。

 「めでたき富士」は素晴らしい。好きな花を山裾に描いている。心の喜び、高揚して、爆発しそうな精神性を、富士山という象徴的な対象を「面構え」として描いている。
 ひまわりや、故郷の北海道の自然が合体している。



 日本の美術館は、自然との調和を大事にしている所が多い。香雪も例外ではなく、
 心を優しく包み込む、緑の中に建っている。
 真夏にも近い暑さの中、一陣の涼しい風に、包まれ、うたた寝をしたくなるよな、のんびりした風情のある、小さな美術館だ。




 美術を鑑賞して、遅めの昼食は、御影から、歩いて10分の所にある、ピザハウスに決めた。
 
 食べログで、美味しいピザがあるというので。
「ベーネ、ベーネ」というピザが自慢のイタリアンレストラン。



 ランチは、ピザランチ2種類と、パスタランチの3つから選ぶ。
 1500円のピザランチは、チーズとアンチョビとトマト。パスタは、ベーコンとペペロンチーネ。
白ワインの一本。3300円のワイン。よく冷えて、とても美味しいワイン。

 ピザも、パスタも美味しい。白ワインとマッチして、幸せのレシピだった。



 私は食後、別れてから、岡本まで歩いた。岡本で、ストリートダンスの競技会をやっていた。
 御輿を出して掃除をしている風景も。5月の、3,4とお祭りらしい。



 コナミに行っても、まだワインが残っていて、お風呂だけにした。  

Posted by アッチャン at 15:22Comments(0)