2012年06月10日

玉三郎「阿古屋」を語る



    

 玉三郎さんのトークショウ、前回と違って、沢山の人が、劇場をぐるりと取り囲むように、列んで待っていました。
 待っていながら、隣の人と話をしましたら、私が行きたいと思いつつあきらめている、
東京の新橋演舞場でやっている、亀治郎さんの襲名披露公演の舞台と、コクーン歌舞伎のチケットも買っているという人で、今日は、玉三郎の舞台を観たあとだとか。
 四国から、来ている人だった。
 フアンはすごいな。

玉三郎作
 
 やっと私達の番が来て、南座に入ると、後ろの方まで座って入る。
私はとにかく前の方に開いている所はないかと観ながら、端の方に、4番目の席を確保。
 端の方は空いていた。
 トイレから戻ると、もう一杯で、桟敷も、二階にも。
 今日は、玉三郎さん、一人のトーク。
 カーテンがあがると、今日は、着物に袴姿で。
 薄色の淡いグレーとブルーがかかったような、爽やかな色合いで、とても似合っている。
 やはり、洋服よりも、着物姿の方が似合うなあ。
 シャワーを浴びて、顔がさっぱりした様子で、とても自然な美しさ。
 立ち姿で、観客に語りかける。真剣に、時には、笑った顔がすごく素敵。
本当に、話が上手で、ぐんぐん惹きつける。

隈取り


 阿古屋、にまつわる、六波羅密寺との縁だとか、「阿古屋」を玉三郎が、6代目の歌右ヱ門から、受け継いだ経緯とか、「阿古屋」を演じることがすごく難しく、ハイグレードになっているので、次に継げる人が見つからないとか、
 阿子屋の衣装が、舞台に出ていて、その衣装の話。三味線、お琴、胡弓の、使い方や、お琴の作り方、三味線の譜面が貼り付けてある所など、裏の詳しい話は聞けて、
オペラグラスで、その造りの細やかな所まで、みることが出来ました。
 あらかじめ、配られた質問用の紙を出した人達への、解答を丁寧に、ユーモラスに語ってくださって、あっというまの1時間。終わって欲しくなくて、時計を観ていたら、ジャスト1時間くらいだった。
 舞台の前に、立っているので、とても良く観られたのに、オペラグラスで、表情の皺やしみ、髪の毛の動きまで、魅せていただいた。




  玉三郎さんは、10時から4時まで、毎日稽古で、その後、国立劇場に飛んでいくという生活、その合間に、映画が観たくて、時折、お稽古をサボらせてもらって、映画を観ていたそう。
 稽古が終わると、師匠が、お茶漬けを用意してくれていて、それを頂いて、国立の舞台に。
 海外の中で、一番すきなのは、イタリア。食事も、人も親切で陽気。
 ダイビングの海は、魚よりも、地形に興味があるそう。
 舞台を観るのが好きなので、サンディエゴに行った際にラスベガスで5日間滞在して、
 舞台を毎夜7時から11時まで、10作品観たそう。昼間は、泳いだり、歩いたり。
 打団のヨーロッパ公演でも、10作以上の舞台を観たとか。
 歌舞伎の演出もやりたいし、他のプロデュースもやりたいし、脇役でも、舞台に出られる間は、舞台にも。


女役に徹して、最高の化粧道具を造った。東の木と、京の蒔絵の雅との合作。

  凝り性なので、お稽古に凝り、道具に凝り、新しい事に常に挑戦していく、バイタリティーと、年齢を超越した若々しさ。しなやかで、のびのびしていて、究極の勉強好き。
 美の探求は、限りなく深く、何処までも広く。
 玉三郎の世界は、宇宙だ。「天かける宇宙。海の底、透明で輝く光の果て」

 お腹を空かして、心は満ちて、家路に。 昼も夜も食べる暇なかった。



 



  

Posted by アッチャン at 03:20Comments(0)演劇

2012年06月10日

琉球王国の華「組踊」


    


 南座で、玉三郎さんのトークショウがあるのが気になっていたので、今日は空けていたけれど、どうしようかと思案。
 南座のホームページを開くと、今日だけではなくて、火曜日の公演の休刊日にも、阿子屋ゆかりの、六波羅密寺の住職さんとのトークショウがあるので、そちらにしようか、とも。
 造型芸術大にある「春秋座」のメールが入っていて、それを見ると、今日の2時から、
 琉球の「組踊」の公演がある。人間国宝の2人が出演するとのこと。
  玉三郎さんのトークショウは、6時半からなので、12時に、整理券をもらって、
 それから、春秋座に行って「組踊」を見れば、調度良い。




  琉球王朝の舞踊劇は見たことがない。人間国宝の芸なら、見ておかないと、次に見られないかもしれない、と思って、重い腰を上げた。
 南座に着いたのは、12時20分、1000円の「玉三郎美の世界」のチケットを買わないと、整理券がもらえない。
 今回もらった整理券は、194番というので、早いのかと思ったら、先月のように、アルファベットのついたものの、次に配られるもので、400番くらいだと言われた。
 先月のトークショウは、一階の中程までしか席が埋まらなかったので、400番目でも 大丈夫だろう。



 バスで、造形芸術大行きだと思って乗った4番は、先日、円通寺に行った時に乗ったのだけど、間違っていた。
  途中で降りて、引き返すのに、トイレに行っておこうと、地下にもぐって、地下鉄の側にあるトイレに入ったのまでは良かったのだけど、出て来た時に、段差があるのに気がつかないで、ずってん。先日、やってしまったと同様の状態で、ひざを打ち付けて、転んだ。
 周りにいた人が心配そうな顔している。
 笑いながら立ち上がって、痛いのを我慢して歩いた。骨は大丈夫だけど、2度目なので、少し痛む。
 馬鹿だなあ、と我ながら。
 友人とこの前別れた、三条京阪の所まで歩いて、5番のバスに。満員だ。
 1時半から開場だというので、ぎりぎり間に合って、当日のチケットを買うと、1階席はほとんど埋まってて、最後列から2つめの席だった。
「春秋座」はそれほど大きな劇場ではないので、後ろでも、良く見えた。
 脚本付きのパンフレットが配られて、出演者と照らし合わせながら、舞台には、翻訳の字幕もついているので、それを見ながら、舞台を見る。



  琉球王国の国王の代替わりには中国から使節を迎え、即位の祝いが催されます。使節の船は、即位用の王冠を乗せて来るので、「御冠船」と呼ばれ、歓迎の為の「御冠船踊」を宮中で取り仕切る役職「踊奉行」の玉城朝薫、という人は、薩摩へ3度、江戸にも2度上がり、大和の芸能にも、深く精通して、能や歌舞伎、狂言などの、大和の芸を参考にしつも、琉球の音楽や装束、小台の言葉を用いて、しっとりと品格のある劇的世界を造りあげました。
 出演者は立方(役者)と地方(奏者)に別れます。
 演ずるのは、士族の男性によって行われ、能のように、すり足で、上半身は、動かさず昨日からの雨が、まだ続いている。
つに、身体ごと向きを変えます。

 「組踊」は、お祝いの席で披露されたので、ハッピーエンドに決まっているとか。、



 見ていて、琉球踊りらしいな、と思うのは、動きが、波のようで、歌いような台詞も、
寄せては返す波のように、同じ抑揚で語られ、繰り返し、寄せては返す波の風情が漂う。

 歌と三味線の人間国宝、西江喜春さんの澄み切った歌の、感情表現が細やかで、心に響きます。
 宮城能鳳(人間国宝)の一部のすきも、無駄もない、美しく、静かな動きも、魅せられます。

 無形重要文化財の指定され、ユネスコの無形文化遺産に、指定されている、琉球王朝の「組踊」を観ることが出来たことは、一期一会でした。




  

Posted by アッチャン at 02:08Comments(0)演劇