2012年06月17日
映画「ミッド、ナイト、イン パリ」
ミッドナイト イン パリス
http://youtu.be/_cgX7pnR-xM
久々に、映画大好き、と思える映画を見た。
ウッディー、アレン、らしい、スマートで、上品で、お洒落な映画で、軽いタッチで描いているけれど、シリアスな本質を押さえている。
ウッディ、アレンの映画は、ユーモアに溢れているけれど、バーナードショウのように、 上質のブラックユーモアに溢れている。インテリジェンスで、皮肉やでフランクなニューヨークッコが、フランスに、特に、文化人としてのパリへの憧れを、自然な形で描いている。
パリのあらゆる場所が、次から次に写し出される。
世界で一番美しい、といわれるパリの街並み。
私達だって、パリに行くと、モンパルナスの夜の街を歩けば、ヘミングウェイや、フィッツジェラルドが、この町に滞在していた頃のノスタルジーを感じる。
モジリアーニは、フジタは、ピカソは?
パリ中の至る所に、彼らが生きていた、気配を実感する気分が残されている。
夜の12時の鐘がなると、馬車がやってきて、小説家に憧れる青年を、過去の世界へと誘う。彼が見たいと思う世界、今よりも良かったと思える世界に。
過去に生きる人達は、その生活に不満を抱いていて、それ以前のベル、エポックに憧れを抱いている。その時代に生まれてくれば良かった、と。時代は更に、ルネッサンスの頃が良かった、と。
無いものねだりの現実の生活、でも、悪くはないのだよ。好きな人にも出会える。
パリに憧れるのなら、現実にパリは存在していて、生きている。ここで住めば良いじゃないの?そういう選択、自由は、私達にあるのだよ。
ないものねだりして、不幸感を抱いていても、はじまらない。1歩踏み出す勇気があれば、間違っている関係なら、解消すれば良い。フィーリングの合う、価値観を共有出来て、楽しい人と出会えるチャンスもある。
この映画の、小説家と称する、脚本家の青年は、ウッディー、アレンそのものを演じている。さすがに、ウッディーは、この若い役所を自分で出来ないけれど、しゃべりかたといい、どこかおどおどしたようで、見栄えのあまり良くない青年を使っていて、若い頃のウッディー、アレンを演じている。
強迫神経症に悩まされているウッディが、パリを舞台にして、のびのび楽しく映画を作った、という感じがして、晩年の絵描きの作品が、アルカイックになっていくのに似ているなあ、とそんな感じの、秀作に仕上がっている。
パリの街を散歩しているだけで、心がなんとなく躍って、ハッピーな気分、私だって、そうだよ。