2013年05月12日

北野武「キッズ、リターン」

  

 昨夜、北野武監督の「キッズ、リターン」のオリジナル版を見ました。
多分、毎週土曜日の、11時からだと思う。北野武監督作品を、日本映画放送で、
放映しているようで、来週は、ベネチア映画祭で、金獅子賞、グランプリに輝いた
「HANABI」だとか。

http://www.youtube.com/watch?v=MvY6JCFCrQk&feature=player_detailpage#t=52s

以前にも、ブログで書いている「キッズ、リターン」この映画は、私が北野武の作品の中でも、名作中の名作だと思って、惚れ込んだ映画です。
改めて、見て、やはり胸が痛くなり、その余韻は、いつまでも消えず、この映画ほど、青春時代の男の子達を、自然に描き切った映画はないのでは?と思うくらい。
真面目で、教師や、親に取って、扱いやすい、高校生の男の子達よりも、落ちこぼれと教師から、見放され、教室に馴染めず、校庭で、自転車を輪をかくように、乗って時間をつぶしている、二人の高校生達の方が、人間としての生き方を真面目に模索し、大人のつまらない生き方や欺瞞には、耐えられず、腹立たしさや、自分らしく生きたいという欲望と、鬱積したエネルギーを持て余して、はけ口を探しあぐねている。
北野武が、オートバイ事故で、九死に一生を取りとめた、後の、リハビリをかねて作った作品だとか。
その頃、ビートたけしは、泣く子も黙る飛ぶ勢いで、ハチャメチャな酷い番組だし、偉そうな人だ、と思って、私は興味なかった。フライデー殴り込みなど、暴力的で天狗になっていたのだが、この事故を契機に、北野武は再起不能、もうお仕舞だ、と書かれたり。




北野武が、良く口にする「何, 馬鹿やってんの?」という自笑的な、自己を見つめる、もう一人の自分(北野武監督)の視点によって、作られた、当時の心境を、そのまま描き出しているような作品だ。青春の純粋性を、いつまでの持ち続けたいという、北野武の本来のピュアーな人間性と、社会の歪んだ構造を、アロニーとして表現する、明晰な理性とが、この作品を、いつまでも新鮮で,みずみずしい作品にしている。
最期の名セリフ。
「俺たちもう終わっているのかな。」
「まだ始まってもいないよ。」
胸がキュンと熱くなって、明日への希望が湧くシーン。
二人が愛おしくて。
二人が自転車に乗って、校庭を回っている。
笑える場面が一杯あって、胸が痛くなる映画。人間が愛おしくなる映画。



これを書いていたら、小包が届いた。
母の日、アメリカにいる息子から、花が届いた。
今は、アメリカでサラリーマンに収まっている。
彼にも、青春時代があった、今もその中にいるかもしれない。
北野武が、この作品のシナリオに、「so what」と題を入れてい
た。息子は、高校の卒業アルバムに、好きな言葉は?
「what’s up」

  

Posted by アッチャン at 11:42Comments(0)映画