2013年10月30日

コスモス

  
    
 
 昨日、妹達がやってきた。
 狭いリビングが満杯になった。
 生まれてまもない、ベビーを連れて、母の施設を訪問した帰りに、
妹の娘達と、その子供達も一緒に。
人気のない家が急に華やいだ。
アメリカから買って来た、子供たちの洋服や、息子達から預かって来たプレゼントなど、
ずっと気になっていたものをもらってもらった。
お宮まいりの着物だと思っていたものが、違っていて、白い絹の着物は色が変わっていた。
棚の上を整理していた時に出て来たもので、お食い初めの食器が上にあったので、てっきりお宮参りの着物だと思っていたのだけれど。帽子はお宮参りのものだった。シミがついて、使いものにならない。心おきなく捨てられる。
一旦は処分しようといたもので、捨てるに忍びなく放置していたもの。
妹からの電話で、捨てなくて良かったと思っていたものだった。
コスモスの花を沢山持って来てくれた。
その日、友人から、柿も送られて来ていた。友人は九度山に毎年柿を買いに行き、親しい人に送っている。
大きくて、立派な柿が箱一杯入っている。
母の故郷の柿でもある。毎年、我が家の送られていたのとよく似た柿。
妹たちに持って帰ってもらってから、父にお供えしたくて弟の家に行った。
コスモスが沢山あるので、半分持って行った。
母には、妹からもらったビスケットを。
天日干しの、美味しいビスケット。母はなんでこんなに美味しいのかしら、と言いながら
いくらでも食べていた。
柿はまだ固いので、そのうちに少しづつ食べさせてあげよう。
母の楽しみは、食べる事ぐらいなものになってしまったけれど、美味しく食べられる事は
幸せなことだ。日に3度の食事とおやつ。ほとんど、食べる為に生活しているよなもの。
何でも食べられる歯と、美味しいと味わえる舌と、それ受けれる度量の大きい胃袋と、
ちゃんと消化して、健康な毎日のお通じ。年を取ると奇跡に近い。
自分の足で歩き、走ることも出来る。
病院に行くと、ほとんどの人が病をかかえているだろうと思う。重病の宣告を受けている人も。
時々、寝台が通る。点滴やチューブをいれた状態で、ベッドに沈み込むように、血の気のない小さな顔。
なんとか、最期まで、自分の足で歩いて死なれないものかなと願う。そんなことの出来る人は奇跡の人だ。母は、その数少ない奇跡の人かもしれない、と思う時がある。
母の事を、「きっとお母さんは最後まで元気で、ある日亡くなられると思う。」と幾人かの
母を知る人に言われたことがある。最近、母の様子を見ていると、そのように思える。
  

Posted by アッチャン at 18:40Comments(0)