2010年12月14日
南座、顔見せ、玉三郎
12月は、師走恒例の、南座での顔見せです。
ニューヨークに行く前に、前売り初日に、チケットを買っていました。
昔は、1万円台で一等席が買えたけど、今は25000円もしますので、とても手が出ません。
母が、お友達に席を買ってもらって、前列10番目で観劇出来たのは、久しい昔のこと、
松島屋さんを親の代から応援してきたので、松島屋の番頭さんから、買っていたチケットならではのことでした。
インターネットで、前売り時間の前から、待機していて、買いやすい値段の2等のAが狙いだったのですが、三階の最前列の席は、すでに売り切れ、二等席のBの中で、最も良い席の、三階の2列目に、一席買うことが出来ました。
買ったのは、昼の部、中でも、玉三郎と海老蔵のコンビで舞う「出雲の阿国」は、楽しみの極みでしたが、海老蔵が、怪我で、仁左衛門さんに変わったので、玉三郎と仁左衛門のコンビなら、かつての黄金コンビなので、かえって、それも楽しみか、とも思われたのですが。
顔見せの昼の部は、「羽衣 」という舞いから始まりました。天女の舞い。
仁左衛門の隠し子という噂の、愛の助と、仁左衛門の長男、孝太郎の出演で、顔見せならではの華やかさで、お正月がすぐそこに来ているのだな、と見事な踊りぶり。
三階から見ていると、舞台の白木の上に、お人形が舞いだして、夢の世界を醸し出してくれます。
次に、これもよく知られた「寺子屋」松王丸に、吉右衛門を迎えての舞台です。
顔見せだから、なのか、一八番そろいで、しかも笑いを誘うものが多い。この「寺子屋」も観客の笑いをそそるうちに、やがて悲劇の様相に、というパターンです。
仁左衛門の松王丸を何度か見ていて、素晴らしい演技に、泣かされたものですから、吉右衛門の豪快な人格とは、対照的に、仁左衛門の場合は、長患いで、身体の弱々しく、身体も細い松王丸。私の中で、名舞台が深く根付いているものですから、物足りないという感じはゆがめないけれど、男ぶりの東役者を見慣れている人なら、この方が男らしくて、潔く良いのかもしれませんね。
さて、待ちに待った、玉三郎の「出雲のお国」の前に、食事が入りました。
お弁当は、買わずに、向かいの、レストランに駆け込んで、最も早い物は?と聞けばランチ、それを急いでお願いします。
何がランチのメニューかも見て無くて、和風のステーキが出て来ました。クリームスープとえびのフライとポテトサラダ。
ご飯も美味しいし、急いで口に入れるものの、ステーキの味も美味しくて、食後にコーヒーまでついて、850円という安さでした。
充分間に合って、幕が開くと、なんと、なんと、あまりにも美しい、玉三郎の、出雲の阿国」玉三郎の背の高さも、博多人形のよう。素晴らしい、踊りは、ゆとりのある優美と仇やかの極みです。
ふっと、わずかに笑いを含ませる面顔の魅力に、胸キュンで、どきどき。
わー、玉三郎、大好き。これは完全に恋心です。一方的な思い入れです。
やがて、お国は、昔の恋人の姿を夢の中で。
せりが上がって、仁左衛門が、美しい若者として登場します。
踊りも、息も良く合っているけれど、この役は、やはり海老蔵のものです。
玉三郎が、昔の恋人と踊る場面ですから、オペラグラスで見ると、やはりこの役は。
海老蔵が、あんな馬鹿なことにならなければ、どれほどの大切な役を逃したことか、と本当に残念です。
そうだからといって、仁左衛門の代役も、それはそれで、若さを身体で素晴らしく、二枚目としての美しさも、素晴らしいのですが、海老蔵の姿形の美しさに、若さは及ばないのです。
玉三郎は、普通の人ではありません。その美は、人を越えている。隣の三人組の婦人達は、海老蔵見たさに、初めて歌舞伎を見に来た人達。玉三郎の美しさに、感動していました。
最後は、これも、馴染み深い、「 沼津」です。
一三代仁左衛門さんを忍んで、と題して、松島屋の3兄弟、我當、秀太郎、仁左衛門で。
一三代の仁左衛門が存命中に、孝夫さんとして、お父さんと共演した、「沼津」を見ていますので、感慨無量です。
かけあいがあって、アドリブで、親子で話をする場面を、今回は、お兄さんと。劇中、実は本当の親子なのだけれど、その時には、わからない。
上方らしいお芝居で、おもしろく、やがて悲しい結末ですが、暖かい人情がの残るお芝居。
今年の、顔見せは、本当に、非の打ち所のない、素晴らしい出し物と見事な舞台を観客に披露してくれています。
もう一度、行けたら。母に見せてあげたい、心引かれる舞台です。
Posted by アッチャン at 10:32│Comments(0)
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