2011年09月23日

マディソン郡の橋を見なおして。

 マディソン郡の橋を見なおして。


http://youtu.be/k_0BxRYVnpE

最近、テレビで放映される、映画を見る時間が多くなって、遅くまで起きている。
 映画を見ながら、家事というわけにはいかないので、べったり座って入る時間が長くなった。一日に一本くらいなら、さほど支障はきたさないが、何本も、テレビの前に座って入ると、時々、立ってみないと、身体が痛い。
 以前に観た映画が多いのだけど、見なおしても、結構面白い。
その中で、「マディソン郡の橋」は、本を読んだあとで、映画館に行ったので、ロバートのイメージが、合わなくて、クリントイーストウッドが年寄りじめて見えたのだが、
 時間の経過もあり、見なおして観ると、ぴったりだと思うようになっている。
 メリルストリープが演じる、マディソン郡の主婦は、子供が17才と言うので、30代の後半から40ぐらいやく所。
 子供達も、自立してくる頃、母親の勤めに、一生懸命になっている時期は過ぎて、誠実で、優しいけれど、男として魅力を感じなくなっている夫。
 イタリア人の熱い情熱を秘めたフランチェスカは、このまま、老いていくことに、いらだちと空しさを感じている頃、夫と子供達が留守にする時間は、解放感に満たされていた。そこに、野生的で、自由に生きている男がやってくる。彼は、少々旅にくたびれ、1人の生活に空しさを感じている、初老の男性だと設定すれば、クリントイーストウッドは、ぴったりだ。昔はハンサムで、モテモテの男だったでしょうが、人間に老いはやってくる。弱さと優しさが加わってくる。
 彼は、どこかに疲れた羽を休めたい、落ち着いた場所を、心の中で求めている。
 彼女は、彼のアイルランドの情熱的は秘めても、抑制力の強い、どこか暗いイメージに惹かれ、イタリアンの情熱的な身体が、理性を抑えて、一気に吹き出してしまう。
 たった、4日間の恋、彼は、彼女と離れられないと思う。家庭を捨てて、自分と旅に出て欲しいと思う。彼女は?
 彼女には、家庭がある。退屈な生活を送ってこれたのは、家を飛び出す勇気もなかった、他の世界に憧れながらも、平凡な主婦の生活に、幸福感を見いだすことが出来たし、夫を子供達を愛して、それが自分の幸せだと思い込むことの出来た女性。
 彼女には、彼と行く勇気はない。捨てて、新しい世界に踏み出す勇気はなかった。
 彼は去り、彼女は残った。
 その後、彼女は、秘めたる恋、心の中に、秘めたる愛の対象が出来たことで、夫にも以前よりも優しくなれたでしょうし、子供達から、精神的に独立も出来た。田舎の平凡な生活を、以前とは違った自分として生きることが出来た。

 一方、彼の方は?
 永遠に、彼女の事を思って、誰とも、交わらなかったとは言えないだろう。けれど、どこに行っても、空しさは余計に深くなっていく。1人身の辛さ、老いの孤独はひしひしと迫って来る。彼女の情熱的で、ひたむきな愛、それが彼の心に、郷愁という名の温もりを与える。
 彼の分身とも言える、カメラ、それは彼自身。彼女の首にかけていた、ネックレス、彼はそれを彼女と思って、幾度の夜、抱いたことだろう。
 彼が、マディソン郡の橋を、写真に納めた本を送ったのも、彼自身を彼女の元に届けたかったから。彼は、彼女の胸の中で、疲れた羽を休めたいという欲望に、寒さの中で、身を震わせたに違いない。
 だから、最後に、自分の遺品を、彼女に元に、届けさせたのだ。持っていて欲しい。抱いていて欲しい、と。


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Posted by アッチャン at 12:22│Comments(0)映画
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