2013年10月17日

 玉三郎の「アマテラス」


        玉三郎の「アマテラス」

     
      玉三郎の「アマテラス」

 アメリカで、咳き込みが段々ひどくなって、帰りの飛行機の中でも、咳き込んでいたけれど、食欲はあって、ワインも飲んでいた。
家にたどり着いたのは、夜の10時を過ぎていた。電車とバスを乗り継いでの帰宅。
荷物を開けて、シャワーを浴びて、頭を洗い、ベッドに入ったけれど、咳であまり寝られず。
それでも、持ち合わせのアレルギーの薬と咳止めで、医者に行かないつもりだった。
明日は、猿之助主演の「ベニスの商人」を観たい。日本で調子が悪かった、腰やひざの痛みは消えていた。
手持ちの薬がないと困るから、という思いで、医者に診てもらっておこうと車で出かけたものの、いつもの医者に行っても、という思いから、以前に、親切な医者だと聞いていた医院の駐車場が空いていたので、飛び込んだ。
医者は、私の顔を見るなり、熱があるのと違うの?と言って、おでこに器具をかかげて、
「7度3分。」
私は気は付かないでいた。咳の方が苦しくて、胸が痛くて。
レントゲンに白い影。医者は、これはすぐに診てもらった方が良い、といって、
病院に電話をかけ、これから行く手配と紹介状を書いてくれた。
すぐに行きなさい、と言われて市民病院に。


 玉三郎の「アマテラス」

救急で診てもらい、レントゲンとCT、血液検査、の結果、肺炎との診断。
「癌と言うことは?」と聞いたら、それは経過を見ないとわからないとのこと。
レントゲンに、甲状腺の肥大が見られるので、心配いらないものだと思うけれど、と言って、次の検診で、見てもらうように言われた。
それが昨日のこと。レントゲンでは影が消え、肺炎は終了。咳も大分楽になっていたけれど、その薬を処方箋を書いてくれた。
そこで、医者は、
「甲状腺のほかに、もう一つ」と言って、CTの画像に映っていてる、黒点のようなものを見せ、大丈夫だと思うけど、呼吸器科に回すから、そこで今後のことを、と言った。

 玉三郎の「アマテラス」


 医者は皆、大丈夫だと思うけど、心配はいらないけど、というものだから、それは信用していない。
 耳鼻科で、長い時間待たされ、次に呼吸器に行ってたら、玉三郎の「アマテラス」に間に合わない。
 キャンセルして、後日きます、と受付で言っていたものの、もう少し、と言われて待っていたら、やっと呼ばれた。
 甲状腺は、専門がないので、耳鼻科での診察だから、他の病院に行った方が、と思っていた。
耳鼻科の医者は、とても感じの良い、海老蔵の風貌をしたハンサムな豪人という感じ。
 喉を抑えて、ここわかるでしょ。
確かに腫れているのに、今まで気が付かなかった。
心配はいらないと思う、と言いながら、針で刺して細胞を出すの、今日やってしまう?
血液検査と、超音波と一緒にやってのいいけど。
これから京都に行くというと、、
「楽しみの方が優先だから。」と言って、二日後の検査の時に。
そこかたら、呼吸器内科に行き、時間がないので、キャンセルというと、すぐに診てくれた。

 玉三郎の「アマテラス」


その先生は、面白そうな人物で、
「急ぐことはないので、気長に。」なんて言って、
「こんな小さいの、なにかわからない。CTはそうそう使えないから、レントゲンで追跡していくことにします。2,3か月ごとに、」
 血液検査のついでに、肺がんマーカーを依頼した。
マーカーでは出ないよ、と言いながら、お望みだから、と検査を入れてくれた。
なんとか、セーフで、ぎりぎりに、南座に。
 舞台は、素晴らしかった。

 玉三郎の「アマテラス」


3階の一番前の席の真ん中。舞台の全貌が見え、演出の効果も最大限に味わえた。
 玉三郎の、カリスマ性は、飛び抜けている。役処のアマテラスと同様、舞台に立つと、
その美しさ、輝き、気高さ、なに一つとして、完璧。
 鼓動が、太古の世界に、ぴったりあっていた。高低やメロディーのない、単調な響きである、太鼓に、笛や鈴の音色が、空に舞う小鳥たちのよう。
太鼓は、リズムと強弱でできているので、感動や心のバロメーターとしての効果は抜群な楽器。昔の人々の、おおらかさや、自然に対する、単純な畏敬、怖れ、歓びの躍動などが、
現代に生きる私達に、記憶の奥にある、原子の感情を呼び覚ましてくれる。


 玉三郎の「アマテラス」


 闇の世界にいる人々、動物、鳥たちや、植物の祈りや苦しみなど、心を表現しての、熱のこもった鼓動、そこに、巫女の美しい女性が、笹を手に、踊る。
やがて、岩の扉を開けて、光輝く、アマテラスが、何があるのかと興味をそそられて出て来る。歓び感謝する人々や、自然に生きるすべてのもの達。
玉三郎が、佐渡の太鼓と出会い、鼓動を世界に紹介したいと思い、鼓動に、ぴったりのこの演目を作ったのも納得できる。
 太鼓の昔から、心の故郷を私達は大切に持っている。それを呼び起こし、美の世界を再現することで、世界共通の感動をパーフォーマンスしようとしたのだ。
鼓動の人達の、極限にまで絞られ、美しく研ぎ澄まされた肉体美。心も肉体も、その極限までの熱情を込めた、力の表現。
 そこに、動きを抑えた舞は、能や、神前での巫女、仕舞にも似ている。
 若い、流動性の美しい、動きの軽やかな宝塚男役スターの、バレーダンスが加わって、
国際的でグローバルな、美を表現していて、本当に素晴らしかった。
感動の心が、アンコールを求める。


 玉三郎の「アマテラス」


それに答えて、舞台では、何度も祝宴と観客との一体感を喜ぶ出演者達の、新しい関係が続く。
アンコールは6回くらい。それも玉三郎の目指す所。大昔なら、夜を徹して、祝祭としての、演劇の舞台が、何日も続いたことだろう。
ギリシャの古代演劇のように。それが玉三郎の目指す所だと思った。

人生は、楽しむ為にあるのよ。歓ぶ為にあるのよ。生きてる限り、心が躍動している限り。自然には畏敬の念を持って。


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Posted by アッチャン at 12:04│Comments(0)演劇
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